
今年、“編み物ブーム”が続いているのをご存じですか? SNSでは手編みのニット帽やバッグ、モチーフ編みの小物などのアイテムがたくさん投稿されています。ファッションのトレンドとして注目されることも多く、幅広い世代にわたって「編み物を始めてみたい」という声が増えています。
編み物は糸と編み針さえあれば、大きな道具や広いスペースがなくても気軽に始められる手芸。最初は少し戸惑っても、コツをつかめばきれいに編めるようになります。 でも、いざ始めようとすると「何から用意すればいいの?」「かぎ針・棒針どっちが簡単?」と迷うことも。 この記事では、編み物初心者さんが失敗しない始め方と、かぎ針・棒針・アフガン編み・指編みの基本、さらに最初に挑戦したいおすすめレシピ本をご紹介します。
編み物といっても、使う道具や編み方の種類はさまざま。まずは代表的な3つの編み方を見てみましょう。
先端の針先がかぎ状に曲がっている“かぎ針”1本を使って編む方法。毛糸をかぎ状の部分にひっかけながら編んでいきます。コースターやポーチ、バッグなどのこものを編むのに向いています。円形や立体的に編みやすいという特徴があります。

棒針を使って編む方法。一般的には2本の棒針を使いますが、作品によっては4本や5本、輪針などを使うこともあります。伸縮性のあるやわらかな質感が出やすく、セーターやベストなどのウエアづくりに向いています。広く平らな作品に向いた編み方です。

アフガン編みとは、棒針編みとかぎ針編みの2つの技法を合わせた編み方です。棒針の先がかぎ状になっている「アフガン針」を使って編みます。棒針編みよりも形くずれしにくく、かぎ針編みよりも糸の使用量が少なくて済むという特長があります。

道具を使わず、指に毛糸をかけながら編んでいく方法。指編みは子どもと一緒に楽しめる手軽な手芸として人気です。毛糸さえあればすぐに始められるので、「まずは感覚をつかみたい」という方にもぴったり。

初めて編み物に挑戦するなら、扱いやすくて覚えやすい「かぎ針編み」がおすすめです。かぎ針編みは、1本の針だけで編んでいくスタイル。棒針編みのように2本の針を同時に動かす必要がないため、手の動きがシンプルでリズムもつかみやすいのが特徴です。
また、かぎ針は毛糸を“かぎ状”の先でひっかけて編むので、目が外れにくく、スムーズに編み進められます。短時間で形になりやすいため、「まずは小物から始めてみたい」という初心者さんにもぴったりです。
かぎ針には、軽金属、竹、プラスチックなどさまざまな素材があります。手に持ったときの感触や重さが違うので、自分が使いやすいものを選ぶのがポイントです。 針の片側だけがかぎ状になっている「片かぎ針」(下の画像A)と、両側がかぎ状になっている「両かぎ針」(下の画像B)の2種類があります。片かぎ針はグリップ付きのタイプも多く、長時間使っても疲れにくいのが特徴。両かぎ針は、両端で号数が異なるため、1本で2種類の太さを使い分けることができて便利です。

かぎ針の太さは2/0号〜10/0号、そしてジャンボサイズの7ミリ〜20ミリまでと幅広くあります。号数が大きくなるほど針は太くなり、編み上がりの雰囲気も変わります。使用する毛糸の太さや作品の仕上がりイメージに合わせて、ぴったりのかぎ針を選びましょう。

編むものの大きさや形状によって使用する棒針の種類が変わります。また、棒針の長さや、輪針のコードの長さにはさまざまなものがあるので、編み地の幅や目数によって適切なものを選びましょう。
A. B.玉付き2本棒針 針の一方の先に玉がついていて、編んでいる途中で編み目が抜けないようになっています。往復編みで編むときに使います。
C. D.4本棒針 針の両端の先がとがっていて、どちらからでも編めるようになっています。輪編みで編むときに使います。※小さいものを編むときに便利な5本棒針もあります。
E.輪針 両端の短い針をナイロンコード等でつないだ輪編み用の針で、往復編みにも使えます。

棒針の太さには0〜15号、そしてジャンボサイズの7〜25ミリまであり、号数の数字が大きくなるほど太くなります。編み糸の太さや形状に合わせて、使う棒針の太さを決めます。

あると便利な用具を紹介します。
a. とじ針 毛糸用の針で先に丸みがあり、針穴も大きくなっています。とじ・はぎや糸始末などに使います。
b. はさみ 編み糸などを切るときに使います。
c. 編みもの用まち針 長くて針先が丸い、編み物専用のまち針です。編み地どうしをつなげるときなどに使います。
d. メジャー 編み地の寸法やゲージを測るときに使います。
e. 段数マーカー 編み目に引っかけて、段数を数える際の目印として使います。
f. フォークピン 編み地をアイロン台に止めるときに使います。 アイロンがけがしやすいように針先が曲がっているのが特徴 です。

編み物で使う毛糸には、アクリル・ウール・コットンなどのさまざまな素材や形状、太さのものがあります。糸の種類や太さを変えるだけで、同じ編み方でも作品の印象が大きく変わるのが面白いポイントです。初心者さんには、扱いやすくて編み目がほどきやすいウールやアクリルなど秋冬の毛糸がおすすめ。

また、編み目が見やすくてきれいに揃う「ストレートヤーン」を選ぶと、作業がスムーズで仕上がりも美しくなります。まずはこのタイプの毛糸で、小さな作品から挑戦してみましょう。

写真:『新・かぎ針編みの基本』『新・棒針編みの基本』
かぎ針編みの基礎を初心者にわかりやすくまとめた1冊。必要な用具、針の持ち方、基本の編み地など、写真とイラストで詳しく解説。マフラー、きんちゃく、アクセサリーなど、かわいいこものを36点掲載。編みながらおぼえられるので、作品完成の達成感も!

まずは基本中の基本、こま編み(細編み)と長編みこの2つの編み方をマスターしてみよう。

慣れてきたらこんなにかわいいきんちゃくも編める!
棒針編みの基礎を初心者にわかりやすくまとめた1冊。必要な用具、針の持ち方、基本の編み地など、写真とイラストで詳しく解説。マフラー、帽子、ハンドウォーマーなど、毎日使えるあったかこものを21点掲載。編みながらおぼえられるので、作品完成の達成感も。

基本の編み地を編むところから! ここから始めると棒針編みの仕組みがわかります。

それぞれの編み方がわかってきたら、応用編の作品に挑戦!
ちいさくてパッと編める! 編みやすいアクリル毛糸を使った「魔法のタワシ」。洗剤なしで汚れを落とせる、環境にやさしいエコなアイテムです。キッチンをはじめとする水まわりはもちろん、リビングやデスクまわりなど、いつでもさっと掃除ができるように飾りながら使える、かわいくて実用的なデザインを紹介。


一歩進んだ作品にトライしたい方におすすめのかぎ針・棒針の手編みこものを集めた1冊。シンプルなものだけではなく、人気のモチーフ編みや素敵な編み込み模様も掲載。マフラー、スヌード、ベレー帽、ニットキャップ、ミトン、バッグ、ポシェット、円座など豊富なアイテムを紹介しています。


目を数えるときは、段の最初と最後や、ひと模様ごとにマーカー(目印)をつけておくとズレにくくなります。編み方図を見ながら、1段ごとに数える習慣をつけましょう。
力加減が一定でないと、作品が斜めになったり反ったりします。毛糸を軽く引く程度にして、手をリラックスさせるのがコツ。仕上げにスチームアイロンをかけて整えると編み目がきれいに仕上がります。
慣れないうちは力が入りすぎたり、逆にゆるくなったりしがちです。ゲージをとってから本番に挑戦しましょう。ゲージとは試し編みをしてテンション(力加減)を確認することです。
編み物は、毛糸と編み針さえあればスペースも少なく、気軽に始められる手芸です。 最初は失敗してもほどいてやり直せるので大丈夫。ゆっくりと針と糸に慣れていくうちに、少しずつ作品づくりが楽しくなっていきます。 お気に入りの毛糸と針を手に、まずは小さなモチーフやコースターから挑戦してみましょう。あたたかみのある手作りの時間が、きっとあなたの毎日をやさしく彩ってくれるはずです。
2025.12.22
2025.12.16